第72章 ♑瞳を閉じても(赤葦京治)
カットの技術なんて鍛錬と実践に
勝るものはないんだけど…
「道具の話とかも聞けるぜ?
コンテストの話とかさ」
プロの話を聞くのも
かなり為になるの、実際。
近くに迫ったコンテスト
セットアップの部門に出る私の心を
尽くマッキーは揺らしてくる
『…ご飯…家で食べる約束してるから
行ってもなんにも食べないし
徹夜明けだから
お酒も絶対飲まないよ
ウーロン茶一杯だけで
帰してくれるなら、付き合う』
「姫凪ちゃんって
本当見かけよりガチガチに
堅いよなぁ…」
『どう思われてたのよ
てゆっか彼氏居るんだから
当たり前でしょ
約束してくれなきゃ行かないから』
「良いよ。
時間的に一時間くらいかな?
一時間経ったらチャント
帰るきっかけ作る
約束!」
小指を伸ばすマッキーに
指を絡め適当に揺らして離す
その後すぐ
京治にLINEを送った
[少し遅くなるけど
ご飯は家で食べるから
ゴメンネ
また帰る前にLINE入れる
本当にゴメンネ!]