第72章 ♑瞳を閉じても(赤葦京治)
『ゴメン…ね?
ボーッしてたから…
でも、その…』
昨日同じ相手で
ヤキモチ妬かせてたばかりなのに
また同じだから…
そりゃあ心配にもなるよね…
「分かってますよ
別に責めたいわけじゃないから
変な言い方してスイマセン。
ただ気を付けて下さいね?
貴女は自分が思う以上に
引き寄せるんだから…
俺みたいな真面目なのから
木兎さんや宮達みたいな
チャラいのまで…ね?」
ショボンと落とした肩を抱いて
少し戯けて笑う京治に
『…真面目デスカ?』
少し零れた笑み。
「なんですか?
笑う所?」
重なった京治の微笑みに
軽くなった気持ちは
ゴロゴロと広い胸に甘えてしまう
ずっとこうしてたい…けど
なにか忘れてる様な…
なんだっけ?
『笑うでしょう?
あんな事いっぱいしといて…』
「笑います?
あんな事って…こんな事…」
『きゃ…寒いから…』
「笑われへんわ!
なんや!俺らは空気か!?」
これだった!!
正に空気と化して
スッカリ存在を忘れてた!
勢いよく
飛んで来たツッコミに丸くなる目