第72章 ♑瞳を閉じても(赤葦京治)
「姫凪、声デカいって
違う声のが好きやけど…」
まだ言うか!?
呆れつつも触られて少し敏感になる
身体を京治の背中に隠すと
「…違う声聞きたいのか?」
ドス黒い京治の声が
静かに響く
あー…これは本当にマズいヤツ。
「あかーしくん、落ち着こう」
「ハナセバワカル…」
「聞く耳持たない」
血の雨が…降………る!?
『ひゃ、ぁ!
京治なにを…待って…!』
「姫凪…なに?」
『なに、じゃなくて
どこ触って…ァ、んっ』
想像の遥か斜め上から
いきなり降ってきた快楽に
身体が敏感に反応してしまう
「「おぉ…こりゃ凄い…」」
ツインズも後退り
少し引いてる感じさえする
「だろ?
でも、この声を引き出せるのは…
俺だけだから」
それは一瞬。
低い声の後
深く深く重なって
激しく交わった唇に
全身の力は見事に抜き取られ
ヘニャへニャと京治の身体に
倒れ込む
いつもの京治からは
想像出来ない
積極さは徹夜したが故?
『京、治?』
「離すの嫌になるでしょう?
徹夜明けだからですか?
無防備が過ぎる…」
だけじゃないよね