第72章 ♑瞳を閉じても(赤葦京治)
誰に?
「俺は気付いとったで
匂いで分かる
メッチャ美味そな匂いするモン
腹減る…食いたなる…」
『ひゃあ!擽ったいっ』
「おはようさん
昨日ぶりやな、姫凪
今日は食わせてくれる?」
いつの間にか空いてた左隣りを
占領していた空腹モンスターに!
首筋に噛み付かれた私の口からは
威勢のいい言葉は消え
『だ、だめ!
離れなさいっ
わ、わたしのが年上なのよ!
怖いんだから!』
よく吠える犬の様な
情けないセリフが出てしまう
「怖いん?どんな風に?
怒ってや姫凪ちゃん」
「俺も怒られてみたなる
怒ってええで
こんなんしたら怒る?」
『触、るなぁ!』
なんか事態は悪い方へ
悪い方へ流れていく
侑くんは適度に距離を保つけど
空腹モンスター治くんは
そうは行かない
昨日京治が付けたキスマークに指が触れ
「なん?聞こえへん
どんなんしたら怒るん?」
指先が怪しく動く
夜通し可愛がられた身体は
微かに揺れて
それを隠す為に
『だから!触ったら
怒るんだってば!
京治、助けて!』
わざと大きくする声