第72章 ♑瞳を閉じても(赤葦京治)
女の子??
チラリと視線を流すと
スラリと背の高い綺麗な女の子が
私と反対側の京治の隣を埋めて
キョトンとしてる
「え?この人、どこの科の人?
あ、はじめまして
赤葦くんのお友達…ですか?」
私の視線に気付いたのか
慌てて笑顔を作り頭を下げる
京治と同じ年かな?
それとも後輩かな?
可愛い子…
『えっと…私は…』
化粧も髪の毛も気合いは
入ってないわけじゃないけど
お勉強しに行くから
服は仕事着だし
完徹でどことなくボロボロで
朝の爽やか女子大生を
前にしたら少し
気後れしてしまって
"どうもー彼女でーす
京治がいつもお世話に~"とか
軽いノリで挨拶する
タイミングは完全に逃してしまった
モジモジする私に勘付いたのか
「俺の彼女。
居るって知ってるだろ
何回も言ってるし」
京治が私を引き寄せ
その子にピシャリと言い放つ
「あぁ…そうだよね
手繋いでるしね…
ふーん…この人が
赤葦くんの彼女ねー…」
京治からの彼女宣言は嬉しいけど…
「学生さん…じゃないですよねー?
なんか持ち物も高級そうだしー…」
ジロジロ見られるのは
良い気分じゃない。