第70章 咲く恋、散る恋、芽吹く恋⑥(宮侑 治)
お前がどんだけ迫っても
サクラは揺れへん
サクラがたとえ揺れても
俺はサクラじゃないとアカンから
「ごめんな、遅なって。
話、あるんやろ?」
チャント話そや。
お前の心の中
全部教えて?
俺が伸ばした手に
自分の手を重ねようとして
「あ、うん!
あの…角名くん…
気持ちは…その…」
サクラが角名を振り返り
申し訳なさそうに言葉を紡ぐ
「バカかよ…」
小さく漏れた声は
悲しそうに歪んだ顔は
スグ奥に引っ込んで
「は?そんな言葉
聞きたくねぇし
せいぜい泣かされない様に
気をつけろよ
…治はアンタら二人にハマるまで
相当遊んでたって聞いたし」
ニヤリと意地悪な顔に変わった
「え?なに?」
「聞いてねぇの?
治の昔話。
そりゃもうエグかったって…」
「…ぉい!アホ角名!
お前、誰がそんなデタラメ…
あ、侑と間違ってんやないか!?
お、俺は…そ、そないやで?!」
この性悪キツネ!!