第70章 咲く恋、散る恋、芽吹く恋⑥(宮侑 治)
アホな事を考えて
浮かれる俺だけが呑気やった事を後悔するのは
まだ少し先
『治くん、ごめん先に行く!
用事思い出した!』
慌てて走り去る姫凪に
まだ呑気にハテナ浮かべて
アクビをする俺
校門をくぐり
教室に鞄を置き
隣の教室を覗くと
「…なんや?サクラ居らんやん」
サクラの姿がない。
「…なぁ、サクラ知らん?
今日日直らしいんやけど…」
近くに座ってた女子に声をかけると
「布施さん?
今日は日直ちゃうで?」
まさかの事実。
「…ほな、侑見てへんか?
今日さきに来とるはずやけど…」
「知らんよ?ウチは見てへんし。
バレー部の部室か
体育館居るんちゃうの?」
「…せやな。
行ってくる」
侑の事やから
てっきりコッソリ自主練しに
体育館忍び込んでるんやと思ってたけど…
「体育館…には、居らん…か」
体育館は使ってる気配ない
…なんやねん。
サクラも早く出て
侑も早く出てって…まさか…なぁ?