第69章 咲く恋、散る恋、芽吹く恋(宮侑 治)⑤
優しい言葉に
心は暖かくなるのに
同時に少し苦くなる喉の奥
「私も、やよ!
日曜日楽しもうな」
苦さを掻き消そうと
必死に絞り出した明るい声に
笑う治くんの指を絡め取り
側にあるぬくもりを
シッカリ確かめた
日曜日。
『サクラ、おはよう~
お弁当どうする?
皆で一緒に食べるしふたりで作ろうか
そっちのが早く出来るやろ?』
私より少し遅れて起きて来た姫凪が
キッチンに顔を出した
「治くんのは…私が作りたい…な
姫凪は侑くんに作ってあげぇや…
そ、それが彼女ってモンやん!」
ついつい低くなるテンションを
無理矢理あげて
咄嗟にニコリと笑って
言葉を足す
わざとらしいな、私。
きっと姫凪も…
『サクラ、ホンマは
一緒イヤやったんちゃう?ごめんな?』
気付いてまうやんな…