第69章 咲く恋、散る恋、芽吹く恋(宮侑 治)⑤
「何か買おて行こ
家あんまり大したモン無いし
飲み物とかお菓子とかいっぱい買お?」
わざと明るく笑って
治くんに腕を絡めると
「そんなん要らんやろ
俺にはもっと甘いモンあるし
…お前もお菓子なんか食うてる
体力残らんて」
壁にドンと押し付けられた
「治…ンぁ…」
声を遮る深いキスが送られ
「どないしてん?
キスじゃ足りん?
それとも…」
優しいキスとは裏腹に
瞳は薄く悲しい影が落ちる
「どないしたん?
治くん?」
「…なーんも?
すまん。ガッツキ過ぎやな~、俺。
家まで待たれへんくなる所やった
頭冷やさな…なー!
やっぱお菓子買おてこっ
プリン食いたなって来た」
暗い瞳は三日月に歪んで
ウソみたいに明るい声に隠される
「待たれへんくてもエエよ!
ガッツいて…」
アカン、なんか…
メッチャそわそわする!