第69章 咲く恋、散る恋、芽吹く恋(宮侑 治)⑤
「もっと妬いて…
苦しくなるくらい…縛って…」
「なんかエロいな、それ…」
「…もう!ちゃうやん!
そういう事じゃ…」
「分かっとるよ
お前も俺を縛って…
…サクラ…好きやで」
甘いキスも
愛の言葉も
綺麗な丸になりきれず
小さな角で少しずつ
私達を傷付けていくようだった
「「お待たせ」」
「『お疲れ様』」
部活終わりの二人を
姫凪と二人で出迎える
「なぁ、今日どっか行く?
駅前のケーキ屋
新装開店らしいで?」
「パチンコ屋みたいに言うなや
俺らパス
二人で行けや
今日は俺がサクラの家行くから
その辺気ぃ使こてや?お二人さん。
行くで、サクラ」
姫凪と侑を残して
歩き出す治くんを
慌てて追い掛けて隣に並ぶ