第68章 咲く恋、散る恋、芽吹く恋④(宮侑 治)
『侑…目まだ腫れて…』
「うん、せやな。
まだ腫れとる
俺のせいやな、ごめんな?」
顔だけ振り向かせたまま
頭を優しく撫でて
必死に呼吸しながら
頬に手を伸ばす
『侑…あの…』
まだ止めるな
一番肝心な所やねん
何か言おうとした
姫凪の声を遮り
「もう泣かさへん
いっぱい笑かしたる…から
俺と付き合って?
姫凪、好きや」
涙痕が残る頬に
唇を押し付けた
カチンと固まった身体が
俺の腕の中で小さく震えてる
返事は聞こえて来ない
「アカン?信じられん?」
気持ちは分かる
俺がサクラを好きなんは
姫凪が一番よく知っとるもんな…
『だって…そんなイキナリ…』
分かるで?
分かるけど…
ごめんな、もう退かれへんねん。