第66章 咲く恋、散る恋、芽吹く恋②(宮侑、宮治)
震える声に
一瞬の沈黙の後
「顔見せや」
低い声が返ってくる
『ごめん』
アカン。
頭がグチャグチャやねん
どんな顔したらエエのかも
何を話したらエエのかも
「見せろ言うてんねん」
『いや…止めて…逢いたく…ナイ』
分からへんねん
出てしまった言葉を後悔するより早く
チャチな鍵が動くのが目に入る
『ちょ、治くん!?』
「入るで、姫凪」
慌てて抑えようと近付くも
隙間は広がり
治くんの姿が私の前に現れた
「なに拒否っとるん?」
いつもと違う低い声