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イケメン戦国 ー とおまわり ー

第13章 離れる【光秀編】



「いろは屋は先代の頃より安土に腰を落ち着けて、今の商売をしております。私は先代とお会いしたことはありませんでしたが、豪儀な方だったとお聞きしております。商売に関しても幅広く、様々な人や場所とも関わりを持たれていたとのことです。現主の吉右衛門に代わりましてもその部分は引き継がれ、多くのご縁をそのままに、商売をさせて頂いております」


そこまで一気に話すと一之助は一度目を閉じて、一瞬苦しそうな顔をしてまた目を開き、話はじめる。


「これから話すことは、お嬢様の……いえ、ひいろの心の根底に今も影を落し続けていることです。まことに勝手なことですが、この事を知り得た後もどうか変わらずに知らぬこととして、ひいろに接して頂きますようお願い申し上げます」


そう言って頭を下げる一之助の顔には、悲しみが見えた。ひいろを思い自分のことのように胸を痛めているのだろうか。何がひいろの心に影を落としているのか。
ふと見た家康の瞳が大きく揺れていた。


「……すいません、つづきを……。ひいろの母は吉右衛門のニ番目の妻になります。吉右衛門が先妻を病で亡くし三人の男子を育てているなか、嫁ぎひいろが産まれました。他の子供と歳が離れており、また初めての女子ということもあったため、皆に愛され慈しまれ育ったそうです。この頃はいろは屋にもひいろにもなんの問題もありませんでした」


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