第13章 離れる【光秀編】
「だからと言って、このような場で話すことではありません」
「そうか、ならばまた褥で話してやろう。お前は俺の声が心地いいと言っていたからな」
「……もう、知りません!」
ついにひいろは話すことを拒絶し、真っ赤な顔をして横を向く。向いた先で俺と目が合うと、更に赤くなりぎゅっと両目をつむり下をむいた。
御館様の言葉を受け場の空気は一変し、動揺しているのはひいろだけでなく、座敷にいる者の全てがその言葉に何かしらの感情を見せていた。
静かになった座敷の中、秀吉はため息をつき苦笑いを浮かべ、正宗は面白そうな気づかわしそうな顔をしてひいろの様子を見ており、三成は少し頬を染めていた。家康は動揺したように一瞬瞳を揺らし、いつにも増して不機嫌そうな顔をした。
そしてことねは……
静かに御館様とひいろを見ていた。色の白い肌が更に白くなり、瞳が小さく揺れ、軽く開いていた手がきつく握られていた。
それを見ている俺自身も、気がつけば爪が食い込むほど強く自分の拳を握っていた。
そんな中、御館様だけが満足そうに笑っていた。