• テキストサイズ

イケメン戦国 ー とおまわり ー

第13章 離れる【光秀編】



「ことね、少し黙って」

「あっ、私また余計なこと言っちゃったかな……」

「ひいろは今日初めて登城して、しかも信長さんの前で武将に囲まれ、ことねは織田家の姫様だ。なかなか町の絵師がこういう状況になることはないからね。突然色々言われたら、困るよね。普通に」

「確かにそうだよね。ひいろちゃん、ごめんなさい。困らせるつもりじゃなかったの」


家康の言葉に、素直にことねがひいろへ頭を下げると、慌てたようにひいろが更に深く頭を下げる。


「家康の言うことに一理あるな。少し騒ぎすぎたな。ひいろ、すまなかった」


ことねを諭しながらひいろを気遣う家康を見て、秀吉が嬉しそうに頷き、場をおさめるようにひいろに声をかける。


「皆様、ありがとうございます。また、お気を使わせてしまい申し訳ございません」


その言葉にひいろが答え話が終わろうとしたその時、静かに見ていた御館様が口を開く。







「お前が素直に受けていればよい話だ」








ぴくりと、頭を下げたままのひいろの背中が動く。


「あの頃は、素直で聞き分けのよい女子だったがなぁ」


にやりと笑いながら御館様が言葉を続ける。


「美しいなどと言われれば、素直に喜び頬を染めていたのは誰だ」


ひいろの背中がまたぴくりと動く。


「帰らないで欲しいと、俺の袖を掴み泣いて見せたのはいつであったか。実に素直で可愛いげがあったものよ」


がばりと、一気にひいろが顔を上げる。

/ 382ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp