第13章 離れる【光秀編】
そんな様子を見ながら、後から来た者達が座につく。秀吉側にことねと家康。三成側に俺と政宗が座り、ひいろを囲むような形になった。
皆が入りはじめると、ひいろは指先を畳につき、綺麗な姿勢で頭を下げた。顔が見えなくなる一瞬、家康とことねの姿が目に留まったのか、ひいろ表情が固くなった気がした。
皆が座につくと、政宗がひいろへと挨拶をする。
「随分と面白そうな娘だな。俺は伊達政宗、はじめて会うのは俺だけか?」
「いえ、政宗様。私も直にお会いするのは初めてでしたので、先程ご挨拶させて頂きました」
「そうか、三成も初めてか」
「はい。しかし政宗様、失礼ですがひいろさんは面白いというよりも、お美しい娘さんですよ」
先程の言葉を受けてか、三成がひどく真面目な顔で政宗にそう告げる。
「三成、そういう意味じゃあ……」
「そうだよ政宗!今も可愛いけど、浴衣姿のひいろちゃんは本当に綺麗だったよ!ねぇ、家康」
「なっ!なんで、俺に……いや、まぁ、確かに綺麗だったけど……」
「そうだな、俺も娘らしい姿は初めて見たが綺麗なもんだ。化粧なんかしたら更に引き立つんだろうなぁ」
「さすが秀吉さん!女の子を見る目があるね。ねぇー三成くん」
「はい。さすが秀吉様です。ですがことね様も、本日はいつにも増して、お美しいです」
「やだー三成くん。私へのお世辞はいいよ、気にしないで」
「いえ、お世辞などと……」
「あーうるさい。三成、お前静かにしてろ」
「だめー。家康、そんな言い方したら三成くんに悪いよ」