第19章 偵察
「!…真…君…?」
「っ…なんなのだよ菜月!その呼び方は!」
「え…?」
「こら~!そこ、イチャつくな~!」
「木村ぁ…ちょっとパイナップル貸して?」
その後も、シュート練などが進んでいった。
「…」(16時…か…そろそろ帰らないと…。)
私は立ち上がった。
「あれ?もう帰っちゃうの?」
「!…高君。」
「真ちゃんに挨拶してけば?あと大坪さん。」
「うん。そうする。」
私は大坪のところへ行った。
「あの。」
「ん?」
「もう帰ります。今日は、ありがとうございました。」
「あ…おう。こちらこそ、ありがとな。」
「え?」
「緑間が、あんなに楽しそうに話しているところは、たまにしか見れないからな。」
「そう…なんですか?」
「あぁ。」
私は、その後、監督のところにもお礼を言いに行った。
「監督…さん…。あの、今日はありがとうございました。」
「お~。こちらこそ、ありがとなぁ。」
「…」
私はお礼をして帰ろうとした。
「君は…。」
「!…」
「…ぜひともウチに欲しい人材だな。」
「え…?」
「人間で出来る人はほぼいない。それくらいの並外れた観察力。君の目は、強い選手をたくさん見て、強い選手の成長を、たくさん見つめてきた目をしている。」
「…」
「…誠凛が嫌になったらいつでも来るといい。」
「ありがとうございます。失礼します。」
久しぶりに、真っ直ぐ、向き合って褒められたので、もの凄く嬉しかった。