第19章 偵察
「…俺、ホントに菜月っちのこと好きッス…。」
「ありがとう。」
「……よ~し!そろそろ行かないと、先輩達にしばかれちゃうッスね!」
そう言い、黄瀬は離れた。しばらく抱きしめられていた。
「菜月っちは、このあとどこか行くんスか?」
「うん。秀徳と桐皇に。」
「えっ!?あと2つも行くんスか…!?大変ッスね…。まぁ、頑張ってくださいッス!」
「ありがとう。」
私は微笑んだ。
「じゃあ、バイバイ。」
「はいッス!」
私は手を振り、黄瀬とわかれた。わかれ際に言われた。
「次は絶対勝つッス!リベンジッス!」
「うん、次も、絶対負けないから!」
今の黄瀬は、とても輝いて見えた。
そして私は東京に戻り、秀徳高校に行った。
「…」
「1本1本!大事にな!」
こっそり覗いてみると、シュート練をしていた。
「…凄い…。」
皆、綺麗にシュートが決まっている。
「あれ?緑間君と高尾君がいない…。」
探してみるけど、見つからない。
「サボり…?いや、あの2人に限ってそんなことは…。」
「盗み見とは、いい度胸なのだよ、菜月。」
背後から声が聞こえ、恐る恐る振り向いてみた。
「!?…みっ…緑間君…!?」
「よ~っす!」
振り向くと、緑間が立っていた。高尾もその後ろにいた。
「なんの用だ?」
「っあ…どっ…どうしてここに?」
「それはこっちのセリフなのだよ。」