第14章 ここからが本番
「よし!」
大坪から緑間にパスが出る。
「!…」
「リスタートが早い!」
火神の体力は限界に近い。でも……。
*
「火神君、あと何回跳べる?」
「跳ぶ?」
「緑間を止めた、あのスーパージャンプのことか。」
「あれは、天性のバネを極限まで使うから、消耗が半端ないのよ。加えて、火神君はまだ体ができていない。1試合で使える回数は限られているわ。」
「そんな…!跳べるぜ…ですよ…!何回でも!」
「今は強がりとかいいから。」
そう言い、監督は火神の足を見た。
「2回が限度ね…。」
「2回?」
「2回で…どうやって緑間を止めれば…。」
「1回は、勝負どころにとっておいて。もう1回は……。」
*
「第4クォーターの最初のシュートをひっぱたけ!!」
緑間のシュートを止めた。そしてそのボールを伊月が受け取った。そしてシュートを打った。綺麗に決まった。歓声があがった。
第4クォーター、残り、9分35秒。51対61。
「きたぁー!」
「10点差だ!」
「監督、いきなり2回のうち1回、使っちゃっていいんスか?」
「はったりだからね。」
『え!?』
「こっからは、普通にマークしてるだけでやっとだから、緑間君に打たれたら止められない。けど、彼は無理なシュートは打たない。予想を超える火神君のシュートが、まだあるかも、と思わせれば、少なくとも、シュートに行く回数くらいは減らせると思うわ。」
『おぉっ!』
するとまた監督は何か考え始めた。何か話している高尾。