第2章 仲間
「あ、あの……すいませんでした!手入れのためとはいえあんなことをして……」
一期「いえ、手入れをしてくださったことには感謝しているのですが……あんなこと、と聞いても何をされたのか知らないもので」
少し困ったように笑う一期一振さんに、鶴丸さんの方を見ると、グッと親指を立てていた。
話してないのね……。
あのとき、起きたかと思ったけど……そういう訳じゃなかったんだ。
まあ、知らない方がいいか。
「少し特殊な手入れをしたもので、でも覚えてないのならそのままでも大丈夫かと」
鯰尾「いち兄、主にキスされたこと覚えてないんですか?」
一期「き……す……?」
「ねえ、鯰尾何言っちゃってるの?ねえねえ何いってるの!」
いきなりひょこっと出てきて言ってはいけないことをさらっと言う鯰尾を見つめた。
にんまりと笑う鯰尾にコイツわざとだと察すると無性に髪を三つ編みにして解けない呪いをかけたくなった。
一期「キス……口吸い……」
「あ、あの一期一振さん私は手入れのためにしただけで下心はなかったので!」
一期「わ、わかってます。手入れのため、ですよね……」
どうしよう。
顔をそらしてこちらを見ようともしない。
寝込みを襲われたと同じようなものだし、不快と思われても仕方ないけど、これから仲良くなろうって人にこれは……
一期「少し驚きましたが主は私を思ってしてくれたことだと理解しております。ですので……私は気にしてません」
「一期、さん……ありがとうございます。一期さんが初めてでよかった」
一期「はじめて、ですか……責任取ります」
「えっ!い、いえ大丈夫ですよ!これから仲良くしてくださると嬉しいです」
王子様のような人だなと思ってはいたが、本当に紳士的でいい人だ。
でも、責任ってなんだろう。
お側に置いてある本体らしきものに手を伸ばしてたけど……ち、違うよね……?
無理心中とかそういう物騒な話ではない、よね?