第2章 仲間
「あの、長谷部さん。気になったのですが綺麗な部屋もあれば血が飛び散ったようなシミのある部屋がありますけど、誰の血かわかったりしますか……?」
長谷部「刀達の血かと。やつらが出陣から帰ってきても手入れはおろか、休息する暇もなかったもので……あとは前の主が……」
「前任のやっていたことは少し聞いているけど、聞けば聞くほどとんでもない人だったのですね。でも出陣で怪我を負ったとしてもあれほどの部屋になるとは思えない……大半は前任が関係しているのでしょう?」
長谷部さんの傷も、結構深かった。
手入れもされず働かされて、それが回数を重ねるごとに傷も深くなって心が壊れなかっただけよかった。
私なら壊れていたかもしれない。
長谷部「前の主は少し歪んだ趣味のようなものがありまして、刀を傷つけることをなんとも思わない人でした。腕を刺し、足を刺し首を胸を腹を……何より血を、見るのが好きだったようで」
「っ……もういい、もういいよ。話さなくていい」
自身の手を見てそう話す長谷部さんに、前任にそういうことをされていたというのを察する。
私は長谷部さんの手を握ってふるふると首を横に振った。
私が少しでも情報をと思って聞こうとしたのが悪いが、聞けば聞くほど不愉快な話だ。
服で隠れていたりしてよく見てなかったが、手入れの前の長谷部さんはもしかしたらいたるところに刺し傷があったのかもしれない。
長谷部「主……」
「私は絶対そんなことはしません。絶対……っ絶対にあなた達を守ります。何があっても必ず」
人の不幸は比べるものではない。
だけど、あまりにもひどすぎる。
私はただ……誰からも認めてもらえなかった。
それも、私の努力次第では変わっていたことなのかもしれない。それなのに私はなにもできなかっただけだがこの人達は……。
恥ずかしいな私……。