第31章 部屋籠り
燭台切「なつみは綺麗だよ」
「っ……あ、あぁ!今日の昼食はハンバーグなんですね!」
名を呼ばれるとぞくっとする。
部屋にこもると言ってから夜くらいになると、あの忌まわしい体質が私を苦しめてくるのは相変わらずだ。
でも、それも……求める対象がおらず、政府の人からもらった飴玉のおかげで何事もなく仕事に集中できていた。
けど昨日辺りから身体が変なのだ。
お昼に昼食を持ってきてくれたのは歌仙さんだった。
いつものようにだらしないだとか言われていたが髪を整えてくれると言ってくれた歌仙さんの好意を受けたのだが、歌仙さんが私の髪に触れて後ろから話しかけてくるとそれに対して私は変な気分になりそうになっていたのだ。
その時はすぐに飴玉を食べたので問題無く夜まで過ごせていたが、夜食を持ってきてくれたのは燭台切さんでその時は事前に飴玉を舐めていたはずなのに燭台切さんの声を聞いているだけでつらくて熱くて……その時は適当な理由をつけて部屋から追い出すようなことをして事なきを得たがその後はあまりの苦しさに……まあ、あれだ。
お一人で慰めたというか……いや、今は思い出している場合ではない。
今はなんともないが気をつけていないと。
燭台切「ね、なつみ。昨日僕が遠征に行ってたことは長谷部くんに聞いてると思うけど……ここ、怪我しちゃってね」
燭台切さんは着ていたジャージの袖をまくって、腕にある刀傷らしきものを見せてくれた。
私は少し驚いたが、こんのすけに軽傷程度なら人間と同じですぐ治ると聞いていたので手入れはしないように決めたのだが……傷を見せられると何とも胸が痛んでしまう。
私が傷つけたわけでなくとも大事な彼等が怪我して帰ってきているのにそれに気付けないだなんて……
「……軽傷なら手入れは必要ないって聞いてるんですが……結構な傷ですし手入れさせてもらってもいいですか?」
注射の針やすり傷程度なら私でも我慢して手入れはしなかっただろうが、燭台切さんの腕の傷は傷口は塞がっているとはいえ痛そうだったので手入れを申し出ることにした。