第31章 部屋籠り
燭台切「主、今大丈夫かな」
「大丈夫ですよーどうぞお入りください」
襖の向こうから声がしたので起き上がって身なりを正してから返事を返す。
審神者ではあるが女として変な格好は見せられないからね。
まあ、手遅れ感はあるけど。
燭台切「失礼するよ……主、まだやっていたのかい?」
「今は休憩していたところですよ」
燭台切「そんなこと言って……徹夜したことは歌仙くんから聞いているよ」
「バラしたな……一応、二時間程度は寝ましたよ。あまり長く部屋にこもってはいられませんからね。早いうちに安定させてお部屋から出ないと」
燭台切「そんな血色の悪い顔でみんなの前に出ちゃダメだよ…目の下の隈もすごいからね…」
朝食を持ってきた歌仙さんからも耳がタコになるほど何度も言われたことだ。
歌仙さんから見ても私の顔色は悪いようで、雅じゃない女を捨てたようだとか散々言われたがダメージはなかった。
変な話だが私のことを気にかけてくれる歌仙さんのお説教は正直嬉しかったりする。
今はこんなんでも今後は雅だと認められる女子を目指そうかな。
「こういう姿は子供たちには見せられないので引き続き彼等のことお願いしますね」
燭台切「みんな心配していたよ。主は大丈夫なのかって毎日聞きにくるくらいにはね」
「私も会いたいんだけど……こんな姿、見せるの恥ずかしいので……でも燭台切さん達にもできれば見せたくはなかったんですよね」
彼等は美しい。
かっこよくて綺麗で……そんな彼等に囲まれていればお洒落なんてと思っていた私でも見た目が気になってしまう。
だからこんな女子力のカケラもない姿を見せるのは本当はとても恥ずかしいのだ。
でも食事とか持ってきてもらってる身なのに、顔を見ずにお礼を言うのはなんだか失礼な気がして……