第1章 始
「幸村さんってさ、本当ムカつくよね」
「あーわかる。笑ったりもしないしなんか不気味だよねー」
あぁ、またか。
なぜ女子というのはああいうのが好きなんだろう。
本人がいるんだから離れたところで言わないで直接言えばいいのに。
私はいつも通り聞いてないフリをしながら帰り支度をはじめて早めに教室を後にした。
下駄箱の靴はいつだって犠牲にあう一つのアイテムだった。
気に入ってたのに大事にしていたのに、何でこんなことをするの。
「私が何をしたの。なんで、なんでこんな目に合うの……痛いのも苦しいのも我慢してるのになんで……な、んで」
私は、存在しちゃ……生きてちゃいけないの……?
『あんたなんか生むんじゃなかったわ』
◇◇◇
加州「なつみ!」
「っ!き、よみつ……」
目が覚めると最初に見たのは清光の心配そうな顔であった。
あぁ、そっか。
今の私は……審神者、なのだ。
加州「あ、主……よかったぁ」
「心配、かけたみたいだね。ごめんね。ちょっと目眩がしてね……」
身を起こして清光に笑いかけるとまた泣きそうになっているのでどうしたものかと考えながら頭を撫でるのはやめておいた。
泣き虫な刀さんだ。
?「あの……」
声がした方をみるとそこには、真っ白な彼と……ロイヤルプリンス様が正座をしていた。