第1章 始
「お身体の方は大丈夫そうですか?」
?「あ……はい、手入れをしてくださったと聞いてます。感謝します」
見た感じ、本当に傷は完治したようではあるけど、警戒と戸惑いのようなものをロイヤルプリンス様から感じられた。
重傷の時に見た傷は刀によってつけられていたもの。
あれが休まず出陣させられていたからなのか、それとも前任本人から傷つけられた傷かはわからないがどちらにせよ前任が原因なのは間違いない。
「粟田口の一期一振さん、ですよね?以前、他の本丸の貴方を見たことがありましてお姿は存じ上げておりましたが近くで見てみるととてもお美しい方で驚いてしまいました」
一期「そうですか……」
どこかで見たことがあるとは思ってたけど、あの王子様のような刀だったとは。
まあ、傷まみれでも王子様オーラは健在ではあったけど。
あまりじろじろ見るべきではないのだろうがやっぱり容姿がいいからなのか変にドキドキしてしまうが、なんだろう……はっきりとした理由があるわけではないけど、違和感を感じた。
警戒しているのは当たり前なのだが、他にもっと別の……。
「私のこと、信用できませんよね?」
一期「そのようなことは……」
「大丈夫ですよ。ここの本丸の事情のことは少しは聞いておりますので」
他の本丸の一期一振さんはとても社交的で優しく笑顔が素敵な人という印象があったが、私のそばにいる彼は怯えている。
表に出してないところはさすがと言えるけど清光と同じで怖い思いをしていたに違いない。