第1章 始
加州「主……ま、まさか」
「こ、これも彼のためよ。初めてを捧げるには緊張する相手だけど」
傷だらけでも、この人の美しさはよくわかる。
何て言うんだっけ、ロイヤル……あぁ、あれだ。
これぞ王子様って感じの人だ。
キスなんて所詮は皮膚と皮膚がふれあうだけで今回のキスは手入れという下心のない儀式のようなもの。
そう儀式。
これは儀式……儀式儀式儀式儀式儀式儀式儀式儀式儀式儀式儀式ぎ、しき……
加州「あ、主。顔真っ赤だけど本当に大丈夫?すごい汗だよ」
「だ、大丈夫。大丈夫だから……!」
熱い、クラクラする……なんか、苦しい。
「手入れするなら早くしてくれないか」
「う、うるさい真っ白いの!これでも一応女の子なんだから緊張するの」
だって、キスなんだよ。
今までしたことのないファーストキス。
でも早くしないとこの人が……人工呼吸はキスのうちに入らないって聞くしこれも人命のためだ!
「し、失礼します……!」
正座をして頭を下げてからゆっくりと顔を近づけていく、大丈夫、人命なんだか。
そう、これは人命、人のため……。
?「お、おい何して……」
加州「鶴丸さん黙って」
唇を重ねるとそこから霊力を送り込むのをイメージする。
どれくらいすればいいかわからないが、これだけの傷だ。少し長めに……。
?「ん……」
お、起きたか!
離れようとすると後頭部を押さえられより深く口付けることになると私は驚いた。
え、えっ……!?