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真昼の月 真夜中の太陽 【気象系BL】

第11章 世界にひとつだけの花


【Maria】






ふわふわで

あったかくて

いいにおいがする





「ん…っ」


コシコシ擦りながら、目をあけると、周りを見回す


明らかに家とは違う光景


知らない場所に息を飲んだ





「……あ、目覚めた?」





突然開いたドア


女の人の声にビックリして、体を起こそうとすると……


「いたっ…」


あまりの痛さに、またベッドに倒れ込む


「無理しちゃダメよ!…ね」


知らない女の人が、優しい声でそう言うと、


布団をきれいに掛け直してくれた


「あの…」


状況が理解出来なくて、戸惑う僕に……


その人の手が延びて


びくっと顔を背ける僕を、


「だいじょうぶよ」


……ギュッと抱き締めてくれた


……なんだろう


いいにおい


何かわからないけど、ホッとする





「……マリア様……」


「え…?ああ、そうよ……あなた覚えてる?マリア像の側で倒れてたの」





そうか……

僕、死んでないんだ


柔らかい感触を肌に感じて

トクトクと聞こえる心音が、すごく安心出来た





「ちょっと滲みるけど、我慢してね」


あったかいタオルで、顔や体を拭いた後

体の傷を消毒してくれた


「……迷惑かけてごめんなさい。

汚いのに……ごめんなさい」


僕が謝ると


目の前の女の人は


……何故か、泣いてた


どうして、泣くの?


僕、なにかした?


「あのっ…ごめんなさい。
僕、何か……しましたか……」


首を横に振って、

その人は……泣きながら笑った


何故だかわからないけど


ドキンとして……


キュウッと苦しくなって、嬉しかった


その人は僕に笑ってくれてるんだってわかったから










世界にひとり


たったひとつの花


彼女との出会いだった








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