第58章 初恋の再会
––笠松side—
——氷室と聖知が再会直後 同時刻
「っ…やっと着いた…それで聖知はどこにっ…」
「一応…ここで待つようにお伝えはしましたが………」
「いねえじゃねえかっ……クソッ…とりあえずこの辺りを重点に探さねえと…」
「この辺りにいればいいのですが…最悪笠松様のスマホを悪用されていたら……」
「……どういう事だ…」
人混みが多すぎてやっと人を掻き分けてイベントエリアへ到着した。桐生さんと聖知が別れた場所まで来たが聖知の姿はどこにも見当たらなかった。
急いでこの近辺を探しに行こうとすると桐生さんの言葉に引っかかる。
『スマホを悪用』と聞くと嫌でも小林にスマホを盗まれ聖知に怪我を負わせることになった一件を嫌でも思い出す。
「笠松様のスマホを利用してお嬢様が呼び出されたとしたら……少なくともこの近くにはいないかもしれません」
「っ……それが本当なら…こんなとこでモタモタしてられねえだろっ…!俺はこっちを探す!」
「っ…闇雲に探してはっ…」
桐生さんの言葉を待たずに俺は走り出した。
これじゃあ前と一緒だ
1番側にいたのに…いつも一緒にいんのに…いつも大事な時に側にいない
『聖知のことはオレが守る』
何が守るだっ……
いつも聖知に約束してんのに何も守れてない
もしまた怪我をしていたら…
傷ついていたら…
小林の時と同じ状況下で嫌な予感ばかりが頭の中で駆け回る
聖知の安否を心配しながらイベントエリア付近を探し、あまり人が立ち入らない場所を重点的にくまなく探した
けど聖知は見つからなかった