第58章 初恋の再会
––氷室side—
バスケコートを出ると人混みを掻き分けて彼女の姿を再度探した。
見間違いじゃない
彼女は今ここにいる
そう信じて探しているとイベントエリアから出ていく彼女の後ろ姿が見えた。誰かと電話している様子だったが彼女の後をすぐに追った。
ここで見失えば6年前と同様…2度と彼女とは会えない…無性にそんな気がした。
* * *
「いない……どこに…」
彼女を追っているとイベントエリアから少し離れた場所へと辿り着いた。しかし彼女の姿を見失ってしまい辺りを散策していると近くで女の子の声と大きな物音が聞こえた。
「っ……いっ…痛っ…ぅぐっ……」
「っ……!」
本当に……
聖知ちゃんがいた
でも……
彼女は目の前で見知らぬ男に足で踏みつけられ暴力を振るわれていた
なぜこの状況になっているかなんて関係ない
男の暴力が再び聖知ちゃんに降りかかる前に男の腕を強く掴み、彼女の綺麗な髪から手を離させ…突き飛ばし距離をとらせた。
聖知ちゃんの様子が心配で、すぐに側に行くと怪我はしていない様子にホッと胸を撫で下ろし…彼女にやっと再会でき自然と笑みが溢れた。
「あ…あの……」
状況がいまいち飲み込めていなさそうな彼女は不安げな声を漏らす。
俺を見つめるその瞳は6年前と何一つ変わっていない
最初に出会った時と同様—
綺麗な碧色の瞳が俺を見つめていた