第58章 初恋の再会
––花宮side—
「見てわかると思うけど…恋敵の先輩のスマホだよ♡」
「………おい…今何て言った……もう一回言ってみろ」
「っ…じょ…冗談だって……ただのジョークじゃん…」
原の言葉にギロッと睨みつける。
幸せそうな表情で笠松の腕に抱きついているあの女の写真を見ると反吐が出る。役に立たなそうなスマホを地面に放って叩き割ってやろうと高い位置に上腕を上げた瞬間あることに気がついた。
「…おい……今現在で笠松がスマホを持っていないのは…他に誰が知ってる…」
「そんなの本人とオレらだけでしょ?」
「………なら……仕掛けるか…」
笠松のスマホを弄るとすぐにあの女の番号がわかり、あの女の居場所をあぶり出すためにほくそ笑み、イベントエリアへ向かった。
* * *
「……オイ…何ついてきてんだよ」
「そりゃぁ…なんか花宮楽しそうだし…ソレ使って聖知を見つけ出すんでしょ?持ってきたの俺なんだから…さっ♡」
「……チッ…勝手にしろ…」
イベントエリアに着くと人混みで溢れかえっていた。
熱狂な声援に多数の話し声が行き交い、例えあの女がいたとしても目視で見つけ出すのは困難…
「花宮、聖知ちゃん、ここにいるの?」
「……さぁな…それを今から見つけ出すんだよ…」
イベントエリアから離れた路地の壁にもたれながらあの女に電話を掛けた。