第58章 初恋の再会
––花宮side—
笠松を振り切りイベント会場へ向かう最中—
苛つきをぶつけるように園内に設置されているゴミ箱を蹴り飛ばした。
不意打ちとはいえ一撃で意識を飛ばした事…
簡単にあの女を逃した事…
邪魔をする奴が他にいるという事に気づかなかった事…
何もかもが狂わされ…全てが癪に障り、苛立ちが止まるどころかドス黒い感情で満たされる。
「チッ…誰だか知らねえが…舐めた真似しやがって…」
笠松の言動からわかった事がある
あの様子から見て笠松は何も知らねえって事だ
となれば…
俺を殴った奴は単独で動いてる可能性が高い
必ず引っ張り出してやる
まず、そいつの場所を探るには……あの女の居場所だ
おそらく…笠松がいない状態で此処から離れるという選択肢はない
って事は…まだ園内のどこかにいるって事だが——
いや…単独で動いている奴がいるならこの園内にいないって事も…ありえるか……
手がかりもない状態に再び苛つき、ゴミ箱を蹴り上げると呑気そうなうざってえ声が耳に入る。
「花宮〜って…ゴミ箱に八つ当たりしてんの?ボコボコじゃん。」
「よく俺の前に面出せるなぁ……お前らの無能さに呆れてたとこだ」
「そういう花宮は…此処にいるって事は……また、聖知ちゃんに逃げられてんじゃん」
呑気な態度に悪びれる様子もなく、手をヒラヒラさせながら原が俺の前に現れると苛つきが最高潮になる。
「…………で…何しに来た…ザキはどうした……」
「あ〜なんか縛られてたんだけど固くてめんどくさいから置いてきちゃった♡別に俺が逃したワケじゃないし。コレ渡しにきただけ…使い道あるかわかんないけど」
「…あ…?…コレ…誰のだよ………っ…!」
俺を怒らせたいのか、喧嘩売ってんのか…原の言動に内心イラつきながら聞いていると1台のスマホを投げてきた。
スマホを片手で受け取り画面が明るくなると笠松とあの女が待ち受けになっていてスマホが潰れそうなくらい手に力が篭る。