第58章 初恋の再会
––笠松side—
聖知の元に辿り着く数十分前——
「…やっぱり花宮の奴っ……聖知は安全な場所にいんのか…一体どこにっ…」
「落ち着いてください。本当は今すぐにでも安全な場所に移動したかったのですが、お嬢様はどうしても離れたくないご様子でしたので…なるべく人の多いイベントエリアで待つように伝えています。」
「っ…おいっ…まさか…聖知は今1人なのかっ!?」
「はい、ですから今走りながら笠松様にお伝えしているんです。」
イベントエリアに走っている最中、桐生さんから聖知を助け出した経緯を聞いた。
怪我はなかったと言っていたが…
もし…桐生さんが来ていなかったら…
取り返しのつかないことになっていた
話を聞いてそう直感した
今は1秒でも早く聖知に会いたい
今1人でいることにさらに焦りが募り、走るスピードをさらにあげ聖知の元に急いだ。
「笠松様、走りながらで結構ですのでお嬢様にスマホで連絡を取ってください。」
「っ…スマホはあいつらに取られたっ…最初に連絡した時にっ…てぇっ…痛っ…」
「……それは…やばいですね……きちんと人混みの中にいてくれればいいのですが…」
スマホの話をすると桐生さんはいきなり立ち止まり、鼻をぶつけて俺も立ち止まる。桐生さんの表情は深刻な顔付きになり再び走り出し、その後を追いかけるように俺も走り出した。
嫌な予感が的中しているのも知らずに——