第58章 初恋の再会
––氷室side—
やっと…
やっと…
彼女に会えた……
聖知ちゃんと6年ぶりに言葉を交わすことができた。
それなのに、彼女との会話を中断され、再び苛つきが募る。
やっとの思いで久しぶりに再開した彼女は、目の前の男に暴力を振るわれていた。
さっきの忠告では引かなかった相手にため息をつき、相手が投げたボールを転がし睨みつけた。
「……まだ何か用かな…」
「突然出てきて何シカトしてんだよ…それとも、お前か…そのクソ女が庇ってんのは……」
「…その言い方… 聞き捨てならないな…それに女の子に暴力を振るうなんて男のする事じゃない。」
「フハっ…玩具が反抗するから躾てただけだろうが…関係ねえ奴が首突っ込んでんじゃねーよ……まぁ…お前がそのクソ女に肩入れした張本人なら…ここから逃さねえよ」
なるほど…単に絡まれたワケじゃないってとこか…
それよりも……
「彼女を侮辱するような言い方はやめてくれないか…不愉快だ」
玩具やクソ女だの…長年想い続けてきた聖知ちゃんを侮辱されるような言い方に我慢できず、拳を強く握りしめ、冷たく睨みつけた。
「ハッ…何度でも言ってやるよ…お前が助けたクソ女は調教中なんだから邪魔す…っ…」
「…………」
彼の口から聖知ちゃんを再び罵倒するような言葉が聞こえると自分でも怖いくらいに身体が早く動き相手の胸ぐらを掴み、壁へと押し付けていた。