第58章 初恋の再会
「まさかとは思ったが…本当にまだいるとはなぁ…」
「っ………」
「お前、馬鹿だろ…まぁ、いいや…それよりも…」
笠松のスマホを地面に落とし、そっと花宮は聖知へと近づく。
馬鹿にしたような表情をしたのも束の間、原に口を手で塞いでるのを外させると聖知の顎へと手を滑らせ強い力で掴む。
「吐けよ…笠松の他に誰がいる…」
「っ……」
「お前みたいなトロい女が俺から逃げれるわけねぇよな…きっちりそいつにも邪魔した礼をしねえと腹の虫が収まらねぇ…誰に助けてもらった…」
至近距離でギロリと聖知を睨みつけてイラついたように問いただす。聖知は花宮の目が怖くまともに見ることもできず、顔を逸らそうとしても強い力で固定され動かすことも出来なかった。
花宮の目に恐怖を抱えながらも勇気を出して小さく言葉を漏らした。
「…知らないっ……知ってても貴方みたいな最低で卑怯な人に教えるわけないでしょ…」
「…フハッ…そうかよ………なら…身体に聞いてやるよ」
「っ……いっ…痛っ…ぅぐっ……」
聖知の言葉に先程よりも目を血走らせ、獲物を捕らえた飢えた獣のような鋭い目つきを浮かべる。
花宮のキレた様子に原は「ヤバッ…」と声を漏らし、巻き込まれないように一歩下がり、花宮は聖知の胸元を掴み、勢いよく地面に放り投げる。
聖知が起き上がるのを待たず、直ぐに背中を足でグリグリと踏みつけ、聖知の髪を鷲掴んだ。