第58章 初恋の再会
「っ…!」
「……何ビビってんだよ、またスタンガンでも出すかと思ってんのか…」
笠松は花宮の動作を見て瞬時に離れた。
懐に手を突っ込んだ花宮が出したのはスタンガンではなかった。
「花宮っ…!」
花宮はそのまま後退り、小屋から出ると懐から出した鍵で施錠し笠松を小屋へと閉じ込めた。
「お前に構ってる暇はねえよ…」
「っ…くそっ…ここを開けろっ!!花宮っ…!」
すぐにドアノブを笠松は回すが、ガチャガチャとした音だけが鳴るだけで開く事はなかった。
花宮の声と同時に立ち去るような足音が聞こえ、ドアを何度も叩くが反応はなく、小屋に光が差し込んでいるのを見て、ふと2階の窓が開いているのに笠松は気づく。
* * *
「ここからなら…出れそうだな。絶対逃さねえ…花宮の奴っ…」
窓から下を見て、飛び降りても平気な高さに安堵し、窓から飛び降りて小屋の外に出る。
再び花宮を追うために笠松が走り出そうとした時、ふと背後から声をかけられる。
「笠松様、お待ちください」
「っ…!…っ…な…なんでここにいるんだ…」
「………その話は後にして…時間がないので先に申し上げますが、お嬢様は無事です。彼を追っても時間の無駄になりますよ。」
「…どういうことだ…なんで聖知の事…」
「とりあえず…今は急ぎますので、お嬢様のいる場所まで向かいながら説明しますから…私に付いて来てください。」
笠松はなぜ桐生がいるのか、なぜ聖知の事を知っているのか、不可解な気持ちになりながらも、桐生から聖知が無事だという話を聞き安堵する。
言われるまま桐生の後をついていき、笠松は聖知の無事を祈りながらイベント会場まで急いで足を進めた。