第58章 初恋の再会
「知らねえなぁ…言いがかりはやめろよ。」
「嘘をつくなっ!お前が俺みたいにどこかに閉じ込めてんだろっ…聖知を返せ!」
「何か証拠でもあんのか…あんな女どうなろうと知らねえよ。」
笠松は誤魔化そうとする花宮にイラつき、怒鳴り声で問いただすが花宮は慌てる様子もなく淡々と話し余裕の笑みを浮かべる。
「お前っ…いいかげんにっ…!」
「うぜえな…!さっさと離せよっ…!」
「ぐっ…っ…」
笠松は聖知の居所をなかなか聞き出すことができず、焦りを感じていた。花宮は手を拘束している力が少し緩んだ瞬間、身体を一瞬でクルリと回転させ、勢いよく笠松の腹を蹴り飛ばした。
笠松の拘束から解放されると花宮はユラリと立ち上がる。
「いい蹴りが入ったなぁ…笠松…大人しく眠ってれば痛い思いをすることもねえのに…邪魔すんじゃねえよ。」
「花宮っ…絶対お前を許さねえ…もう一度聞く…聖知はどこにいる…」
「知らねえって言ってんだろ…そんなに心配なら…あの女に首輪でもつけてペットみたいに連れ回せよ。」
「っ…!お前っ…どこまで馬鹿にしたらっ…」
嘲笑するような笑みを浮かべる花宮に対し、聖知の事を聞き出すことができず笠松は不安がどんどん募っていく。
さらには聖知を馬鹿にするような言い方に、笠松は怒りを覚えて反射的に花宮の胸ぐらを掴みかかった。
花宮は笠松の激昂にも動じず、冷淡の笑みを崩すことなく余裕の笑みを浮かべポケットから何かを取り出そうとしていた。