第58章 初恋の再会
––花宮side—
「っ……首が痛え…っ…あの女どこ行った…」
薄暗い部屋で再び目を覚ますと首に痛みが走る。
首を押さえながら立ち上がるとあの女の姿はなかった。
突然の暗闇…
あの女じゃない…
あの女が俺の背後に回るのは物理的に不可能
まさか…笠松か?
だとしたら、どうやってこの場所がわかった…
原が喋ったか…
偶然辿り着いたってとこか…
「チッ…まだ遠くには…っ…!」
「やっと…やっと…見つけたぜ…花宮っ…!」
舌打ちしてあの女の後を追いかけるため、小屋から出ようと振り返る前に突然うつ伏せ状態で誰かに倒された。
「っ……笠松っ…」
声色で笠松だとわかり、手も後ろ手で強い力で固定され動かなかった。
声の主をギロっと睨みつけると、泥だらけの服装にも関わらず強い力で腕を締め上げながら怒鳴り声を発し俺を威嚇するように叫ぶ。
「俺の質問だけに答えろ…聖知はどこにいる…」
「……………」
「答えろ!聖知はどこにいるっ!」
笠松の様子に不可解な気持ちと同時に不愉快な気持ちで頭が満たされる。
あの女を助けたのは笠松じゃない。
誰だか知らねえが…
他に邪魔者がいるみたいだな…
何も知らない笠松を嘲笑するようにほくそ笑み、名も知れぬ邪魔者に最高潮にイラつき歯をギリッと噛み締めた。