第58章 初恋の再会
––桐生side—
「ようやくお目覚めか…
残念だったな…逃げられなくて…」
「っ…うっ…っ…はっ…」
「忘れてたぜ…オマエは足癖の悪い女だって事をな…きっちり今から身体に教えこんでやる」
「っ…ぅっ…ケホッ…っ…ケホッ…っ…」
躾の悪い餓鬼だと思っていましたが……
ここまでとは……
花宮がお嬢様の首を絞めている行為に驚き、静かに怒りを覚える。
こんな気持ちを抱く資格などない、かもしれませんが…お嬢様が苦しんでいる姿を見て、胸が締め付けられ…焦りが一層強くなり、息が詰まりそうになる。
すぐに飛び出して助け出したい気持ちを振り払い、一刻の猶予もない状態に倉庫の主電源をようやく発見し、電源を切断する頃には仲間の1人は出ていった後で、室内はお嬢様と花宮の2人だけになっていた。
「さて…」
暗視スコープで動揺している2人に近づくと花宮を手刀で気絶させ、お嬢様を抱き抱え倉庫から離れ、救出した。
* * *
「ちょっと待ってっ……なんで…ここにいるの…」
助け出したお嬢様の第一声がその言葉でした。
昨日の今日ではその言葉が出るのは仕方ないかもしれませんが…
要は『なぜ憎んでいた自分を助けたのか』と言いたいのでしょう…
罪滅ぼし…自分の責務…言い訳は色々出てきますが…
ただ…『助けたかった』と言って信じてもらえるのでしょうか…
そんな言葉など言えるはずもなく、早々にこの場から離れようと行動を起こそうとしたが全力でお嬢様に拒否された。