第58章 初恋の再会
「さて…怪我はなさそうですね…とりあえず…」
「ちょっと待ってっ……なんで…ここにいるの…」
「…質問の意味がわかりませんが…」
桐生がなぜここにいるのか…
どうして私を助けてくれたのか…
状況がわからない私をよそに桐生は言葉を続けた。
「お嬢様を守るのは私の責務です。………お嬢様が何を思うと自由ですが…今はここを離れましょう。」
「ちょっ…待ってっ…笠松先輩が…私のせいで……どこかに監禁されてるみたいでっ…私…探さないとっ…!」
「落ち着いてください。笠松様は私が探します。お嬢様は……この公園から離れてください…と申し上げても聞かないでしょうね………お嬢様は、なるべく人通りの多い場所にいてください。」
桐生は私の顔を見るとフイッと目を逸らし、公園の出口へと指を差す。腕を掴んで公園から出ようとするの桐生の手を振り払い、再び公園に戻ろうとするとさっきよりも強い力で引き止められる。
「で…でもっ…!私のせいでっ……」
「私の知ってる笠松様なら…お嬢様が危険な状態に陥る方がご心配されると思いますが…」
「っ………」
「とりあえずイベント会場へ向かいましょう。そこなら人混みで溢れていますし、なるべく人がたくさんいる場所でお待ちください。」
「…………」
桐生の言葉に何も言い返せず黙って頷く。
イベント会場付近まで来ると、ストバスの熱気に満ち溢れていて、桐生はそのまま人混みの中へと消えていった。