第5章 終わり。
ぴとり、と目の前で止まり眩しい笑顔を向ける。
「どうしたんですか?」
「今少し時間あ、ある?」
「今は旦那様に言われ帰るところですので…」
「ならさ!ならさーあ!ちょっくら寄り道するってばよ!」
「って言って聞かないんだ、諦めておけよ」
「オビト先生かっこつけてー」
ほらー!と言ってとオビトの手を掴み走りだす。
「ねーちゃん化粧してるのか?いつも綺麗だと思ってたけど化粧してるともっと綺麗だってばよ」
「ふふ、ナルトは私にたくさんの嬉しい言葉をくれるのね」
へへへっと笑いながら。
繋がれた手をぎゅっと握る。
すぐについたそこは、先ほどいた公園だった。
両手を目一杯広げてじゃーん!と言うナルト。
「ねーちゃん髪の毛の色みたいで、ずーっと連れて来たかったんだってばよ!」
その言葉に涙が溢れる。
そろりと、頭に触れられパチリと音がしてそっと撫でる。
「藤の髪飾り、ねーちゃんにはよく似合うってばよ、ねーちゃん」
「な、る、と?」
少し照れたように、それでも真っ直ぐな視線。
「生まれて来てくれてありがとう」
ぎゅうとナルトを抱きしめる。
ぽろぽろ落ちる雫。
「なるとぉっ」
「イタチから聞いてやっと、ねーちゃんを祝えるんだって思ったらつい、そんなに嫌、だったの、か?」
「嬉しいの、とっても、死んでもいいくらいよ」
大袈裟だと言うナルト。
背中をポンポンとされしがみつく。
産まれて初めてそんな事を言われた。
聞き馴染みのない綺麗な言葉。
嬉しさと恥ずかしさで涙が止まらなくなる。
「初めて、初めてですよ、うれ、しくてっ」
「はははっ、いつも美味しいご飯もらってばがっかりだったから、いつかちゃんと、御礼をって思ってたんだ」
「そんなの!そんなのいいの、にっ、ひとりで、食べるより、おいしくて、私のほうがたくさんたくさん…貰ってばっかりで」
そろりと、離れて頬にキスをする。
真っ赤になるナルトを見てこっちまで恥ずかしくなる。
「大好きよ、ナルト…いつも、沢山新しい嬉しいことありがとう」
「えへへっ」