第14章 懐かしさと。
気が付かなかった。
後ろに立たれていた事に。
はそれだけで警戒するに十分だった。
身体は震え、歯はガタガタと音を立てていた。
怖い。
あぁ、こわい。
この人が、この、この人間が怖くて。
たまらないと、五感すべてが訴えている。
「六代目様⋯」
は目を見張り、そろりと震える腕を伸ばし笠に手をかけようとする。
が、掴まれ腕を思い切り引く。
「あな、あ、あな、た⋯が、ほ、ほ、か、げ?」
「ん?そうだよ、俺が六代目火影だよ」
ダンゾウ様を恐れたか、否かと問われたら私はその恐れに惹かれたのだから当然のことだと言えた。
彼の優しさ愛情と同時に、恐怖感。それは脅迫から来るものではない、全てを飲み込むような恐れ。
けれど、目の前の火影様と呼ばれた人からは、酷く鳥肌立つ様な拒絶感が襲う。
「ぁ、あ、あぁっ、ちが、うわ、そんな筈ないもの」
「本当に俺が火影だよ」
その声。
忘れるわけがない。
ないのだから。
忘れらるはずが無い。
「そ、んな」
ふらりと足元が崩れる感覚に抱きとめられる。
その温もり、その力。
ぺたりと、座り込み涙が流れた。
「貴方でいい筈が無いの⋯貴方でいい筈が!!!」
「お前」
綱手様が何かを言っていた。
けれど、火影様と言う者の目を見て、思い出される。
願われた。
犯された。
愛された。
穢された。
リンちゃんのお友達の事を。
「火影様は⋯初対面、です、よね?」
私の震えた声はちゃんと言葉になっているのだろうか。
男は眉を下げていた。
「、久しぶりだね」
「っ!!!!」