第14章 懐かしさと。
「老夫婦かなぁあの二人はさ」
火影は寝不足気味に二人を見つめた。
朝靄の中を淑やかに散歩をする二人組を見つめながら眉間を揉んだ。
何が悲しくてこんな事をしてるかと言えば、火影会談の為に監視を裁けない時間帯が出来てしまった。
仕方なしに火影が監視にとかって出たが、二人を見ているのは、心が少し傷んだ。
自業自得。
解ってる。
彼女に顔も合わせられないことをした事も。
解っているよ。
許されたいわけじゃない、ただそばに居たいだけ。罪を重ねていくだけ。
結局は我儘に過ぎない。
ふと、彼女はにこやかにサクモに笑いかけていた。
躓きそうになる彼女にヒヤリとするがサクモがしっかりと支えていて動いていた腕を掴む。
静かに目を閉じた。
彼女にしてあげられることを全てを掛けてする。
死にたくないと嘆くように、まだ生きたいと叫べるように、今幸せと心から言えるように。
「、愛してる⋯あぁ、愛してる」
口に出すだけで心が温まる。
視線の先にはゆるりゆるりと二人で散歩を楽しんでいる。
この光景を隣で味わえたなら。
どれだけ、幸せだっただろうか。
後悔を飲み込んで、朝露に紛れ込む。
思い出すのは陽だまりのような幸せなひと時。