第12章 やっぱり。
夜中、血の匂いを全身に纏わせふらふら家路を歩く。
今夜だけじゃ少し足りなかった、仮眠をしたらすぐに戻ろう。
ひどく疲れた。
もう腕が重たい。
せっかく綺麗にしてもらった身体が血の匂いで臭くてたまらない。
「リンちゃん⋯?」
家の前にはリンちゃんが居た。
声をかけると、ふと、もう1人誰かが居るのに気がつく。
目を丸くするリンちゃん。
「会いに行きてくれたの!?リンちゃん!」
は駆け寄る。
その瞬間、監督者に拘束され驚く。
「様」
仮面の男の声が響く。
あぁ、そうか。
今日は仕事帰りだったんだ、首に重さを感じなくは人の姿になっている事もやっと思い出した。
「えへへ!リンちゃん!あのね!待っててね!」
そう言って簡易用の首輪をされる。
獣の姿になると、ぶるぶると体の血を払うが、まだ血なまぐさい。
「今待ってね!っんっふんふん」
ぺろぺろと毛ずくろいをする。
だが、なかなか人の血はとれない。
ふぅと、座り込み溜息をついておずおずと顔を上げる。
そこには不安げなリンちゃんが居た。
「ごめんねリンちゃん、今日は、ちょっと汚いし、臭いの⋯」
「お仕事帰り?」
「うん、でもね、ちょっといっぱいで、一人だから、疲れちゃったの」
「⋯⋯そっかぁ、お疲れ様」
優しく頭を撫でられくすぐったい。
「リンちゃん⋯、少し眠たいんだ、会いに来てくれてありがとう、とってもとってもうれしいのですよ」
「いいの、気にしてないから、うん、ちゃんは頑張り屋さんだもんね」
「えへへ」
その場に伏せて、すやすや眠る獣。
リンちゃんは外の匂いがする。
ここにはないたくさんの香り。
「リンちゃん⋯遊ぼう⋯⋯ね⋯リンちゃんだいすき」
学はいらない。必要なのは、どれだけ早く仕事を終わらせられるか。
「頑張りすぎだよ⋯」
夢の中ではリンちゃんがうさちゃんりんごを沢山作ってくれる夢を見た。
と遊んでくれて散歩までしてくれるの。
凄く幸せで凄く楽しい夢だった。