第12章 やっぱり。
の1日はサクモにおはようと言う事から始まる。
息子がいるらしくたまに家にはいない。
「サクモさんあのね!今日はお仕事があるのですよ!だから、今晩はお留守にしますです」
サクモは布団を捲り目を丸くする。
は嬉しそうに言っていたから、声がうまく紡げず抱きしめ、そうか、と告げた。
「お腹すいたの!リンゴ!りんごが食べたい!」
「はいはい、今起きるからね」
サクモの部屋は紙とインクの香りがする。
ぐるりと見渡して目を閉じる。
サクモの匂いがする。
優しい香り。
朝露の香りがふわりと鼻をかすめて、外に走る。
今日は凄く澄んでいる。
「ううぅ、寒いから戻っておいで」
人間は弱く、体温調節も出来ないらしい。
返事をして深呼吸をする。
風が気持ち良く草木を揺らしは御機嫌の様子で家に戻る。
ジャランジャランと慣れた鎖。
ご飯にはたくさんのリンゴと、お肉と、魚。
また魚だ。
もうずっと毎日魚が朝食に出ている。
鼻で避けながらお肉を食べる。
目の前にしゃがみこむサクモは少し怖い。
「好き嫌いは良くないよ、」
「⋯ふん」
「梨、昨日ダンゾウ様置いていってくれたんだ、食べたいだろう?」
意地悪なサクモ。
仕方なしに魚も食べる。
今日は久しぶりのお仕事。
ちゃんと食べなくてはと、言い聞かせ黙々とご飯を口にする。
リンちゃん今度はいつ来るんだろう?
昨日は楽しかったし嬉しかったなぁ、あぁ、また、あの布を見に行こう。
「、ご飯食べたらお風呂だからね」
「はぁい!梨は?」
「お風呂上がったらだよ」
「やったあ!」
張り切ってご飯をぺろりと食べるとお水を飲んで、サクモが朝食を食べ終わるのを待つ。
「サクモ、昨日はリンちゃん送ってくれてありがとう」
「なんて事じゃないさ」
「昨日は、違う誰か、居たから心配だったの」
少し考えてサクモは納得する。
「は優しいね」
「えへへ、リンちゃんだぁいすきなの」
あのねーと続きそれを聞きながらサクモは朝食をとる。これが、いつも。
二人の当たり前。日常。