第11章 人狼とは。
グラスを購入すると、なんだ買うんじゃねぇかと言われてはもうもう!と何故か照れていた。
仲良くやれよと言われ店を出ると、店の前には人だかりがいた。
婚約おめでとうと言う言葉と、たくさんのプレゼントや沢山の暖かい言葉。笑顔。
その輪の中では嬉しそうにしていた。
カカシは唯輪の外で眺めていた。
その光景を見るだけで泣きそうになる。
そう、おめでとうなんだよ。
婚約も、結婚も。
おめでとう。
祝って貰えることなんだよ。
「カカシ様!カカシ様見てください!どうしましょう!こんなに頂いてしまって⋯カカシ様?」
胸の奥でつっかえる。
欲張りになる自分がもどかしくて、不甲斐ないと感じてしまう度に不安がこみ上げる。
が幸せそうに微笑むと、それだけでまた頑張れる。
守るために、この笑顔を、護るため。
そろりと抱きしめられ、驚く。
「どうしたんですか?少し疲れましたか?」
その声は、言葉は恥ずかしいほど図星だった。
「カカシ様、人狼は死を待たれるものなのですよ、そこまで頑張らずとも良いのです」
ヨシヨシと撫でられて悲しくただ、悲しくなる。
解っている。
こんな事をさせたかった訳じゃない。
こんな風にから自由を奪いたかった訳じゃない、もっと、何処でも彼女は当たり前のように買い物が出来て散歩が出来て向日葵のように微笑んでいられるように⋯出来ると思った。
何もかも思い通りに進まない。
ぎゅうっと抱きしめる。
「⋯それでも⋯が死ぬのは恐ろしいよ」
愛が伝わらない事より。
目の前から彼女が消える事の方が恐ろしい。彼女は約束をくれない。
死なないと、ちゃんと長生きするよと、約束をくれないから。
ただ、微笑んでくれるだけ。
「大丈夫ですよ、よしよし」
「やっぱり俺はと暮らしていないと駄目みたいだね」
深いため息で誤魔化す。
は、私も寂しいですよとぽろりと呟く、あぁ、頑張ろう。
もう一度が来ないために、自分との為に。
頑張ると決めたんだ。