第11章 人狼とは。
外の香りは幾度となく嗅いでも、肺を幸福と満足で満たして暮れる。
隣にはカカシ様が居るからなのか、とても足取りは軽く、充実感というものを実感していた。
ブワッと風が舞い上がると、肩を抱いてくれる。そんな仕草にもドキリとする。
顔を見合わせて驚いたねと声をかけてくる彼を見て微笑む。
私はあなたの仕草に驚いていますと思いながら頬を緩ませた。
今日は夜には皆様が起こしになると言っていた。
「カカシ様も、今日は分身さんなのですね」
は思ったことを口にすると、カカシは少し困った表情をしてごめんねと言う。
「あら、ちゃん久しぶりだねぇ!」
そう言われては笑顔を浮かべる。
ここの地域まで来ると彼女は、にこやかになるから。
今日は食器を買いに行きたいと言う彼女の願いを叶えるために来た。
「婚約おめでとう!ほうら持っていきなさい」
「えっ!そ、そんな!あ!そうだ!カカシ様!私と婚約などして大丈夫ではありませんでしょう!?」
「へ?」
「わ、私意外と居るところを誰かに見られたら犯罪なんですよ!」
肉屋のおばさんと顔を見合わせて笑う。
は真っ青な顔をして言うもんだからおかしいったらない。
「それは、にも言えるんだよ」
「へ?」
「俺はだけいればいーけど、婚約者さんは意外と他の男にも優しいからねぇ」
「い、いえ!そういう話ではなく!私は!」
「ちゃん、婚約っていうのはね、ちゃんのためにあるようなもんさ、相手これだけ好きなら結婚しちまった方が早いんだからねぇ」
の頭にはハテナばかり浮かべていた。
「結婚までの心の準備の時間なんだよ、ちゃんのね」
「心の⋯準備⋯ですか」
「あぁそうさ、受けてしまったものを正当な理由なく断るのはカカシが可哀想さね」
「ですが、私以外とはお付き合い出来ないとお聞きしまして!」
あぁそうなのかい、と納得したような顔をしたおばちゃんはにこにことする。
「カカシはその重要性より、がほかの男に奪われないと言うメリットを選んだんだろうね、だから、ちゃん、そんなことでは破談にはできないよ」
「わ、私が、他の人?」