第10章 狼と狐と。
の頭には瘡蓋が多くあった。
綺麗に拭き取ると、消毒液で拭いガーゼを当てる。
「目はいけません、ダンゾウ様に怒られますよ」
「⋯⋯そうですね、気をつけます」
「⋯はぁ、貴方は⋯よし、これでいいですね。あぁ、そうだ、ついでに伝言です。明後日はオビト先輩達が、新居祝いに来るそうですよ」
「達?リンさんとかですか?」
「まぁ⋯そんなとこです⋯⋯とにかくこれ以上傷を増やさないようにしてくださいよ」
微笑むだけ、は立ち上がり背中にいるナルトを背負って冷蔵庫を漁る。
テキパキと袋に詰めて真っ黒の男に手渡す。
「ちゃんと食べなくてはダメですよ」
「⋯いいんですか?」
「はい、余り物ですが⋯貰ってくれるなら嬉しいです!杏仁豆腐のお礼とでも思ってください」
「それでは喜んで頂きます」
その男は手に取ると姿を消していた。
の首にしがみつくと頭を撫でられる。
「杏仁豆腐では嫌でしたか?」
「⋯違うってばよ⋯なんで⋯避け無いんだってばよ」
「⋯⋯ナルト、例えばジャンケンで勝てないと悔しくて何度もと思うでしょう?」
「⋯うん」
「でも、一度勝てたら満足できるでしょう?その瞬間は」
「⋯⋯うん」
「だから、避け無いのですよ。でも、オビトさんたちが来るのは少し困りますね」
「俺も一緒にお使いに行くってばよ!」
「ダメです」
「なんでさ!」
「⋯⋯⋯⋯ナルト、言葉は人を良くも悪くもするからですよ。その意味はまだ知らなくていいです、けれど、人はたくさんの感情とたくさんの言葉を使い自分を守り相手を攻撃し相手を愛し相手を守るのです。一つだけを一方的に受け続けるなど貴方はまだしないで欲しいって言う私の我儘です」
はそう言って優しく微笑んでいるから。
「なら、やっぱり俺も行くってばよ。、俺達は家族なんだってばよ。」
その意味さえ、二人は解らないまま。
家族なんて知らないくせに。
真似て、ただ、繕って。
少しずつ本物になっていく。
「なら、明日の夕方お付き合い下さいませ」
「わかったってばよ!」
家族なんて知らないのに、何でこんなにその言葉が嬉しく心を温めるのだろうか。