第1章 泣き虫な子。
テーブルを囲み綱手様の正面に座る。
「綱手様、私が初めて覚えた料理なんですよ、これ」
「今はそんな話をしているわけではない」
「旦那様は、どんな味付けが好きなんでしょうね…」
その言葉に綱手は驚き肘をつき額を押さえた。
綱手は最初から変わらないと、あの頃から何も変わらないと言われた気がした。
「綱手様、ナルトをご存知でしょう?」
曖昧な返事をすると、は微笑む。
「時々、家で夕飯を食べていくんですよ。今はそれが私の楽しみの一つです」
「ナルトが……か?」
「えぇ、彼氏や友達や弟や息子みたいで何とも愛おしいですから」
「おまえ、は、知らないのか?アイツの担当上忍はカカシだと」
目を丸くするのはだった。
「え、?」
「はぁ……知らなかったのか」
動揺しているのか視線を泳がせる。
「だ、大丈夫です。私、言ってませんし旦那様の事何一つ」
「カカシはどうなんだ」
「わ、わかりません…ですが何も言ってこないのでなんの問題もないかと…」
「まぁ、相手がナルトでよかったよ」
動揺するの前髪を撫でる。
「ナルトはいい男になる、お前のいい友人になるさ」
「はい!今も十分実感します!」
ぱぁっと顔色が明るくなるのを見て綱手はやっと笑えた。あの子がこの子についていくれるなら。
それはそれで…この子には幸せなのかもしれない。