第6章 XXXXXXX回目のやり直し。
「サクモさん、朝ですよ。お散歩に参りましょう?」
可愛い狼の娘はそう言って麩の向こうで叫んでいた。
開けますよ~と言って少し開けて隙間から覗く。
振り返ると、座っているのがわかり手招きをする。
嬉しそうに入ってくると、小説棚に向かい上から下までキョロキョロと見ていた。
咳払いをして、本を片す振りをしながら遅いですよと言う。
本が好きなのはここ数日で十分伝わった。は微笑みながら、布団を意地悪にはぐ。
冷える朝にさむいなぁと呟くと、お散歩に参りますよと言っている。
「今朝はとくに冷えているので上着をお忘れずに、あとなるべく厚着をしてくださいな」
「あぁ、わかったよ、散歩の前にお茶が欲しいな」
「はい、あぁ…おとなりさんからもらった甘露茶でよろしかったら直ぐに」
サクモは首をかしげた。
おとなりさん?
彼女のコミュニケーション能力は本当にすごい。
それなりの感情はあるにせよ、何より相手の考えを探る能力は天下一品だと思う。
この間どこどこの誰々がという話をよく聞いたり最近じゃ、散歩にいくとよく挨拶をされる。
いい子だねと言われることもあれば、嫁さんかい?と言われたり様々。
はそのたびに嬉しそうにしていた。
「うん、それでお願いするよ」
「かしこまりました、その間に仕度を済ませてくださいね」
そう言って部屋着を肩にかけて立ち去る。
立ち上がり、ふと中庭を見るとまだ日が昇ったばかりのようだった。
夕日のような、そして、美しく、澄んでいた。
「」
「はぁいお茶は今持っていきますよ」
ふと、呼んだだけで茶の間から返事をくれる、急いで着替えを整える。