第4章 彩花。
「ありません、使いすぎたのですよ人並み以上に死んで悲しんで慈しんで愛して愛して苦しんでもがいて、何千何億と繰り返し疲れたんです。だから、息子の貴方が困らせて悲しませて愛して愛して喜ばせて笑わせてあげてください。この世界に留まる意味をあげてください」
月は君の方が喋りすぎだよと苦笑いをしていた。
布団を元に戻し微笑む。
んぅんんと目を開けるとニッコリ微笑む。
「私の大切な邵可と静蘭⋯もう泣かないで⋯私が護りますから、ね?」
ガバッと抱きしめる静蘭に、千代はくすくす笑い一緒に寝ましょうかと言っていた。夢見心地のような口調で話す。
「ねぇ、邵可」
頬に触れると涙する。くすくす笑いながら静蘭を布団に入れていた。
「黎深が見たらびっくりしちゃうわ、兄弟仲良く、よ」
「千代姉上⋯僕は⋯」
「いきていてくれて、ありがとう。約束を護ってくれてありがとう、邵可」
何度も泣いて泣いて。
涙の音が支配する空間に月は玉華と部屋を出る。
千代はこの世界に留まるという、生きていなくてはと言う執念がもうない、何も無い。
「千代姫様は⋯」
「大丈夫だよ、玉華。千代は死ねないんだ⋯どんなに苦しくても辛くてもね」
玉華を泣かせてしまい雪に怒られるなと思いながらふと、空を見た。
空っぽの空。
心が空っぽ。
正確には心が無いんだよ。
「貴方はあの娘を何処まで苦しめるのですか」